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免疫不全症:KINDLIN3の点変異によってヒトでは3つのインテグリンサブファミリーの活性化が起こらなくなる

Nature Medicine 15, 3 doi: 10.1038/nm.1917

単一遺伝子の欠損によって生じる疾患は、問題の分子のヒト生理への寄与を明らかにしたり、その分子の機能不全から生じる病理を識別したりする、またとない機会となる。本論文では、重度の出血、頻繁な感染、大理石骨病を出生後早期から呈した2人の同胞の欠損症について述べる。このような症状は、白血球接着不全症III型(LAD-III)患者で報告されているものと一致するが、より重症度が高い。これらの症状は、血小板や白血球などの造血系細胞に発現するインテグリンを活性化できないという機構によって起こる。この2人から単離された不死化リンパ球細胞系統ではインテグリンの活性化に異常がみられた。Ras関連タンパク質-1(RAP1)、calcium and diacylglycerol-regulated guanine nucleotide exchange factor-1(CALDAG-GEF1)などの、以前からインテグリンの活性化に関与するとされてきたいくつかのタンパク質は、これらの細胞系統にも存在し、機能していた。この疾患の遺伝的基盤は、KINDLIN3(公式遺伝子名はFERMT3)遺伝子のコード領域における点変異であることが突き止められた。野生型KINDLIN-3をこの不死化リンパ球に発現させると、インテグリンが活性化シグナルに応答するようになった。これらの結果は、罹患者の健康を大きく損なう遺伝性疾患の機序を明らかにし、ヒトでのインテグリン活性化におけるKINDLIN-3の重要な役割を立証している。また、同種骨髄移植によってこの疾患の症状が軽減されることが示された。

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