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腫瘍:酸素感知経路を介したエンドサイトーシスの制御

Nature Medicine 15, 3 doi: 10.1038/nm.1922

腫瘍内の低酸素状態は、疾患の進行、通常の癌治療に対する抵抗性、予後不良と関連している。低酸素状態が生じる機序はほとんどわかっていないが、これは腫瘍形成の進行に重要な受容体チロシンキナーゼ(RTK)の調節を脱した蓄積とシグナル伝達につながる。今回我々は、低酸素状態、または低酸素誘導因子(HIF)の主要な負の調節因子であるフォンヒッペル・リンダウタンパク質の喪失が、上皮増殖因子受容体の活性化を長引かせることを明らかにする。これは、受容体半減期の延長とエンドサイトーシス経路中での受容体の保持によって起こる。エンドサイトーシスの減速は、Rab5を介した初期エンドソームの融合が減少することによるが、減少は重要なRab5エフェクターであるラバプチン5の転写のHIFに依存して起こる低下が原因である。低酸素的状態が顕著な原発性の腎および乳房腫瘍では、ラバプチン5のRNAおよびタンパク質の発現が大幅に低下している。これらの知見は、酸素感知経路がエンドサイトーシスで果たす一般的な役割を明らかにし、腫瘍内低酸素状態またはHIFの腫瘍原性活性化が、エンドサイトーシスによる受容体不活性化を遅延させ、RTKを介するシグナル伝達を延長させるというモデルを裏づけている。

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