Article 創傷治癒:CD29+間質細胞様細胞動員のための傷害誘導性メッセンジャーとしてのサブスタンスPの新たな役割 2009年4月1日 Nature Medicine 15, 4 doi: 10.1038/nm.1909 組織傷害時には、修復過程に全身の間質細胞様の細胞の参加を誘導するために、特定の微小環境が形成される場合がある。今回我々は、サブスタンスPが創傷治癒過程の初期に作用してCD29+間質細胞様細胞の動員を誘導する傷害誘導性因子であることを示す。非損傷のマウス、ラットおよびウサギにサブスタンスPを静脈内投与すると、同じようにこの細胞が動員される。さらに、サブスタンスPによって動員されるCD29+細胞の性質を調べたところ、骨髄の間質細胞(骨髄間質細胞:BMSC)などの多くの結合組織の間質細胞に類似していることがわかった。自己由来サブスタンスPの投与ならびに非損傷ウサギから得たサブスタンスP誘導CD29+細胞の輸注は、いずれもアルカリ熱傷モデルにおける創傷治癒を促進した。さらに、創傷治癒時には損傷組織で輸注細胞の上皮への生着が認められた。また、ヒトのBMSCを試験細胞集団として用い、in vitroでサブスタンスPが細胞遊出、細胞増殖、細胞外シグナル制御キナーゼ(Erk)1および2の活性化、ならびにβカテニンの核移行を促進することを示す。本研究の結果は、サブスタンスPのこれまで知られていなかった、全身的に作用する傷害メッセンジャーとしての働き、またCD29+間質細胞様細胞を動員して創傷治癒にあたらせる因子としての働きを明らかにしている。 Full text PDF 目次へ戻る