Article 免疫:室内塵ダニアレルゲンは気道の構造細胞のToll様受容体4の活性化を介して喘息を誘導する 2009年4月1日 Nature Medicine 15, 4 doi: 10.1038/nm.1946 障壁となる上皮細胞や気道の樹状細胞(DC)は、室内塵ダニ(HDM)アレルゲンや内毒素(リポ多糖、LPS)などの吸入物質に対する防御の最前線となっている。我々は、アレルギー性疾患を引き起こすには、これらの細胞が互いに情報を交換し合う必要があるだろうと考えた。放射線照射キメラマウスでは、放射線耐性のDCではなく、肺の構造をつくっている細胞でのToll様受容体4(TLR4)の発現が、肺でのDC活性化やHDMに対するエフェクターヘルパーT細胞応答のプライミングに必要かつ十分であることがわかった。構造細胞でのTLR4活性化によって、自然免疫系のアレルギー誘発性サイトカインであるTSLP(thymic stromal lymphopoietin)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターロイキン25およびインターロイキン33の産生が引き起こされた。構造細胞にTLR4が存在しないと、HDMに誘発されるアレルギー性気道炎症が起こらなかったが、造血細胞にTLR4が存在しない場合はこうした影響はみられなかった。また、吸入物質に曝露される上皮細胞を標的としてTLR4アンタゴニストを吸入させると、気管支過敏性などの喘息の目立つ特徴が抑制された。今回の知見は、粘膜DCの活性化を介してアレルギー性炎症を誘発する気道上皮細胞の自然免疫機能を明らかにしている。 Full text PDF 目次へ戻る