Letter 免疫:骨髄移植後の顆粒球コロニー刺激因子投与によるナチュラルキラーT細胞依存性同種反応性の誘導 2009年4月1日 Nature Medicine 15, 4 doi: 10.1038/nm.1948 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は同種異系骨髄移植(BMT)後に好中球の回復を早めるために使用されることが多いが、それによって引き起こされる臨床的および免疫学的な帰結は明らかになっていない。我々は、マウスモデルで移植後のG-CSF投与の影響を調べ、BMT直後の通常のG-CSFあるいはペグ化G-CSFへの曝露は、どちらの場合も移植片対宿主病(GVHD)を大幅に増やすことを見いだした。この影響は、宿主樹状細胞(DC)のG-CSF受容体の発現上昇によりG-CSF応答性を獲得させる放射線全身照射(TBI)に依存していた。G-CSFによる宿主DCの刺激に続き、GVHDのエフェクター段階で、ドナーのナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)活性化、インターフェロンγ分泌とCD40依存性のドナー由来細胞傷害性Tリンパ球機能の増幅を特徴とする一連の現象が段階的に広がっていった。G-CSFの有害な影響は、TBI後にG-CSFが投与された場合と、宿主の抗原提示細胞が残存していた場合にのみ生じたことは重要である。おそらくこれが、ヨーロッパおよび北米の大規模なBMT登録機構で行われた臨床研究に矛盾がみられ、議論を呼んでいることの説明になるだろう。これらのデータは、NKT細胞の活性化が転帰に影響を与える可能性がある病状でのG-CSFの使用に大きくかかわってくる。 Full text PDF 目次へ戻る