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免疫:キニン受容体B1の活性化は脳炎誘発性Tリンパ球の中枢神経系への移動を制限する

Nature Medicine 15, 7 doi: 10.1038/nm.1980

多発性硬化症の病変部分について以前に行われたプロテオーム解析と転写解析から、レニン-アンジオテンシン系およびそれに対抗するカリクレイン-キニン系の変化が明らかにされた。本論文では、キニン受容体B1(Bdkrb1)が、免疫細胞の中枢神経系(CNS)への侵入の特異的な調節因子であることを明らかにする。Bdkrb1のアゴニストであるR838(Sar-[D-Phe]des-Arg9-bradykinin)はSJLマウスの実験的自己免疫性脳脊髄炎の臨床症状を著しく軽減するが、Bdkrb1のアンタゴニストであるR715(Ac-Lys-[D-βNal7, Ile8]des-Arg9-bradykinin)は病気のより早い発症と非常な重症化を引き起こすことがわかった。ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質断片のMOG35-55で免疫したBdkrb1欠損(Bdkrb1−/−)C57BL/6マウスは、CNSの免疫細胞浸潤亢進を伴う、より重篤な病態を示した。同じことがBdkrb1−/− Tリンパ球で再構築した混合骨髄移植キメラマウスでも起こり、この場合には17型ヘルパーT(TH17)細胞のCNS浸潤の亢進がみられた。Bdkrb1の薬理学的調節により、血液脳関門内皮を通過するヒトTH17リンパ球のin vitroでの遊走が、この受容体によって調節されることが明らかになった。まとめると、これらの結果はカリクレイン-キニン系がCNSの炎症調節に関与して、脳炎誘発性Tリンパ球のCNSへの浸潤を制限することを示唆しており、またBdkrb1が多発性硬化症のような慢性炎症疾患の新たな治療標的となりうることを実証している。

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