Article 肥満/免疫:やせ状態の脂肪には、肥満脂肪とは異なり、代謝パラメーターに影響を与える調節性T細胞の独特な集団が豊富に存在する 2009年8月1日 Nature Medicine 15, 8 doi: 10.1038/nm.2002 肥満は、脂肪組織の慢性的で軽度の炎症を伴っており、これはインスリン抵抗性と2型糖尿病を促進する。これらの知見から、制御が効かなくなった免疫応答に対する防御を担当する細胞や分子の強力な装備から脂肪の炎症がどうやって逃れうるのかという疑問が生じる。独特の表現型を有するCD4+ Foxp3+調節性T(Treg)細胞は、正常マウスの腹部脂肪に大量に存在するが、肥満によるインスリン抵抗性のモデルでは、この部位のTreg細胞の数が著しくかつ特異的に減少している。機能喪失および機能獲得実験から、これらのTreg細胞が脂肪組織の炎症状態、ひいてはインスリン抵抗性に影響を与えることが示された。脂肪に常在する調節性T細胞と通常のT細胞によって別々に合成されたサイトカインは、培養脂肪細胞による炎症メディエーター合成とグルコース取り込みに直接的に影響を与える。以上の結果は、Treg細胞の抗炎症特性を利用して代謝症候群の要素を阻害することが、治療に役立つ可能性を示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る