Letter

HIV:HIV-1に対する形質細胞様樹状細胞のToll様受容体を介する応答にみられる性差

Nature Medicine 15, 8 doi: 10.1038/nm.2004

ウイルス感染の症状発現は女性と男性で異なることがあり、HIV-1疾患の経過には顕著な性差がみられることが報告されている。HIV-1に感染した女性は、男性に比べてHIV-1感染早期の血中ウイルス量は少ないが、一定のウイルス量でより急速にエイズへと進行する傾向がある。本論文では、HIV-1に対する形質細胞様樹状細胞(pDC)の応答に相当な性差がみられることを示す。女性由来のpDCは、HIV-1にコードされるToll様受容体7(TLR7)リガンドに応答して、男性由来のpDCに比べて著しく多いインターフェロンα(IFN-α)を産生し、その結果CD8+ T細胞のより強力な二次的活性化が起こる。このようなin vitro研究と一致して、HIV-1に慢性感染している未治療の女性は、ウイルス量補正後に男性と比較すると、CD8+ T細胞の活性化レベルがかなり高かった。これらのデータは、一定のHIV-1ウイルス量では女性の方が男性よりも免疫活性化レベルが高いことが、TLRを介するpDCの活性化に見られる性差によって説明可能であることを示しており、またウイルス複製レベルが同程度である場合には、男性よりも女性の方がHIV-1疾患の進展が速くなる仕組みを提示している。したがって、pDCのTLR7経路の調節は、HIV-1が関連する病態を抑制するための新しい手法となるかもしれない。

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