Perspective HIV:エイズワクチンに向けて:アフリカ非ヒト霊長類宿主のサル免疫不全ウイルスへの自然感染に学ぶ 2009年8月1日 Nature Medicine 15, 8 doi: 10.1038/nm.2013 有効なエイズワクチンの設計については科学界の努力が行き詰まっており、典型的なワクチン調製法に代わる手段を考えなければならないところまで来ている。我々は、HIVワクチン研究は、アフリカ非ヒト霊長類のサル免疫不全ウイルス(SIV)自然感染の研究から大いに得るところがあるだろうと考える。スーティマンガベイ、アフリカミドリザルやマンドリルなどのSIV自然宿主には、ヒトのHIV感染と共通する特徴が多くみられるが、通常は免疫不全を発症しない。これら非進行性のSIV自然感染は、霊長類レンチウイルスと宿主免疫系との平和的共存を可能にする進化的な適応を表している。この適応はウイルス複製の低下を生じることはないが、CD4+ T細胞サブセットの表現型変化、限定的な免疫活性化と粘膜免疫の維持を伴い、これらすべてが病気の進行の回避と、おそらくはSIVの垂直感染の低下にも寄与している。本論文では、アフリカ非ヒト霊長類のSIV感染に関する現在の知見をまとめ、このような進化的適応の解明から、過剰な免疫活性化という有害な結果を伴わずに有効な免疫応答を誘導しうる新規ワクチン設計の手がかりがどのようにして得られるのかを論じている。 Full text PDF 目次へ戻る