Perspective がん:がん幹細胞:幻影か現実か? 2009年9月1日 Nature Medicine 15, 9 doi: 10.1038/nm0909-1010 がん幹細胞(CSC)については、最近のいくつかの研究でその存在自体が疑問視されたこともあって、正常組織幹細胞との類似性と差異について盛んな論争が行われている。しかし文献を吟味してみると、CSCモデルは確かな実験的基盤に支えられており、腫瘍内でCSCが見つかる頻度に差が見られるのは、これらの細胞を分析するために使われたがんの種類や宿主個体の差異を反映していると考えられる。幹細胞や、上皮間葉移行(EMT)と呼ばれる分化プログラムの研究によって、幹細胞と、そこから派生したもっと分化した細胞との間に可塑性が存在するらしいことが指摘されている。このような可塑性がもし存在するなら、それはCSCモデルにも今後の治療法研究にも大きなかかわりをもってくるだろう。 Full text PDF 目次へ戻る