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しつこい記憶

Nature Medicine 16, 10 doi: 10.1038/nm1010-1082

多能性幹細胞を用いる細胞治療は、再生医療を必要とする人々に希望をもたらした。成体細胞から作製される誘導多能性幹細胞(iPSC)は、胚由来の幹細胞に代わるものとして有望視されている。J PoloたちとK Kimたちによる最近の2つの研究報告で、成体細胞に多能性をもたらす転写因子群を使う再プログラム化によって得られるiPSCは、起源となった細胞に由来するエピジェネティックな形質を残していることが示された。胚性幹細胞(ESC)では、そのような痕跡はみられない。この種のiPSCは、起源となった細胞と類縁のもの以外の系統へ分化する能力が、ESCと比べてかなり限られていた。しかし、時間をかけてiPSCを何度も分裂させるか、エピジェネティック関連タンパク質を修飾する薬剤で処置することで、どの組織でもつくり出せる完全な多能性を付与できる可能性があることも明らかになった。治療や薬剤開発にiPSCを用いる場合に「エピジェネティックな記憶」の残留がどんな影響をもたらすかについて、3人の専門家に尋ねた。

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