Article 免疫:1型ヘルパーT記憶細胞は術後イレウスを腸管全体に広げる 2010年12月1日 Nature Medicine 16, 12 doi: 10.1038/nm.2255 局所的な腹部手術は、胃腸管全体の動きを破綻させる(術後イレウス)ことがある。腸のマクロファージが筋細胞を麻痺させる因子を産生するが、そうしたマクロファージ、特に処置を受けていない腸部分のマクロファージが活性化される仕組についてはわかっていない。今回我々は、腸の手術が腸内CD103+CD11b+樹状細胞を活性化して、インターロイキン12 (IL-12)を産生させることを示す。これがCCR9+1型ヘルパーT(TH1)記憶細胞によるインターフェロンγ(IFN-γ)の分泌を促し、その結果マクロファージが活性化される。IL-12はまた、TH1細胞の一部を腸の手術部位から処置を受けていない部位へと血流を介して移動させ、TH1細胞はそこでイレウスを誘導した。薬剤FTY720によるT細胞遊走の防止、もしくはIL-12、T-bet(TH1特異的Tボックス転写因子)またはIFN-γの阻害は、術後イレウスを防止した。CCR9+ TH1記憶細胞は、腹部手術の1時間後に患者の静脈血中に検出された。これらの知見は、術後イレウスがTH1免疫媒介性疾患であることを示し、また病気の監視と治療のための標的候補を明らかにしている。 Full text PDF 目次へ戻る