Technical Report 画像化法:非侵襲的な多光子蛍光顕微鏡法によるマウス眼のレチノールおよびレチナール縮合生成物の解像 2010年12月1日 Nature Medicine 16, 12 doi: 10.1038/nm.2260 多光子励起蛍光顕微鏡法(MPM)は一部の分子過程をin vivoで画像化できる。眼では、レチノソーム(retinosome)とよばれる細胞内構造中の蛍光性レチニルエステルが、視物質発色団の11-cis-レチナールの視覚サイクルによる再生を仲介する。しかし、網膜ではレチノイドの有害な蛍光性縮合生成物も生じる。我々は野生型マウスで、波長約730 nmの光による励起で網膜色素上皮内のレチノソームを特定し、また、波長約910 nmの光による励起で網膜発色団が少なくとももう1つ存在することを明らかにした。後者の蛍光は、機能する視覚サイクルを欠くように遺伝学的改変を行ったマウスの眼には存在しなかったが、高齢の野生型マウスや、視覚サイクルの中間物質である全trans-レチナールの除去に欠陥のあるマウスの眼では目立っていた。MPMは、レチノソームと、高齢個体の眼にあって有害となりうる生成物との同時モニタリングを容易にする非侵襲的画像化方式の1つであり、加齢性黄斑変性症や他のレチノイド代謝の異常による分子レベル変化の早期検出手段となる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る