Article 肥満:PI3Kの調節サブユニットであるp85αとp85βはXBP-1と相互作用してその核移行を増加させる 2010年4月1日 Nature Medicine 16, 4 doi: 10.1038/nm.2099 X-box binding protein-1(XBP-1)は、異常タンパク質応答(UPR; unfolded protein response)の主要な調節因子の1つであるにもかかわらず、その修飾因子はほとんどわかっていない。今回我々は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の調節サブユニットであるp85α(Pik3r1にコードされる)とp85β(Pik3r2にコードされる)がヘテロ二量体を形成し、これがインスリン刺激により解消されることを示す。ヘテロ二量体化が解消されると、その結果生じたp85の単量体がXBP-1のスプライシング型(XBP-1s)と結合し、その核移行が増加する。p85とXBP-1sの結合はob/obマウスでは消失しており、その結果XBP-1sの核移行と小胞体ストレスの回復が著しく障害される。これらの障害は、ob/obマウスの肝臓にp85αとp85βを過剰発現させると軽減する。以上の結果は、これまで知られていなかったインスリン受容体シグナル伝達経路を同定し、肥満における小胞体ストレス発生の新たな機構を呈示するものである。 Full text PDF 目次へ戻る