Letter HIV:ウイルスを抑制するHAART療法下の患者のラルテグラビルによる治療強化はHIV-1複製と免疫動態に影響を与える 2010年4月1日 Nature Medicine 16, 4 doi: 10.1038/nm.2111 高活性抗レトロウイルス剤療法(HAARTまたは多剤併用療法)は、強力かつ持続的にHIV-1ウイルス血症を抑制する。しかしながら、治療を中断した場合には、ウイルス複製は再び始まる。HAART療法を受けている患者では活発な複製は休止していると一般的に考えられているが、免疫の活性化や炎症は異常なレベルで続いており、低レベルのウイルス複製が続いていることが示唆される。HAART療法下で活発な複製が免疫活性化を促進しているのかどうかを確かめるために、我々はインテグラーゼ阻害剤ラルテグラビルを用いた治療強化がウイルスの相補的DNAおよび免疫活性化のパラメーターに与える影響を調べた。ラルテグラビルが存在する場合には、直鎖状HIV-1 cDNAのクロマチンへの組み込みが阻止され、その後エピソームcDNAに変換される。3剤併用による抑制的HAARTの治療計画をラルテグラビルで強化することにより、HAART療法下の患者の多くでエピソームDNAが特異的かつ一時的に増加した。このようなエピソームDNAをもつ患者では、免疫活性化のベースラインが高かったが、これはラルテグラビルによる治療強化の後に正常に戻った。これらの結果は、抑制的HAART療法を受けているにもかかわらず、一部の感染者では活発な複製が持続して免疫活性化が促進されることを示唆している。活発な複製を維持するウイルスリザーバーに影響を与えるラルテグラビルの強化能は、ウイルス根絶達成を目標とする治療戦略にかかわってくる。 Full text PDF 目次へ戻る