Article 肥満:ホスホイノシチド3-キナーゼの調節サブユニットはX-box-binding protein-1の核蓄積を増加させて小胞体ストレス応答を調節する 2010年4月1日 Nature Medicine 16, 4 doi: 10.1038/nm.2121 クラスIaホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)は、インスリンの代謝作用に不可欠なメディエーターであり、触媒サブユニット(p110αあるいはp110β)と調節サブユニット(p85α、p85βあるいはp55γ)から構成されている。本論文では、p85αが小胞体ストレス依存性に、異常タンパク質応答(UPR)の転写メディエーターであるX-box-binding protein-1(XBP-1)と結合することを示す。p85αのノックアウトあるいはノックダウンを行った細胞株は、XBP-1の小胞体ストレス依存的な核蓄積の低下、UPR標的遺伝子の誘導低下、およびアポトーシスの割合の増加などのUPRの著明な変化を呈する。これには、inositol-requiring protein-1α(IRE1α)およびactivating transcription factor-6α(ATF6α)の活性化低下を伴う。肝臓のp85αを欠失させたマウス(L-Pik3r1-/-)では、ツニカマイシン投与後に同様なUPR減弱が示され、炎症応答の増加が引き起こされる。したがって、p85αはインスリン作用の中心であるPI3K経路と小胞体ストレス(この状態が解消されないとインスリン抵抗性が引き起こされる)に対する細胞応答調節との間の、これまで知られていなかったリンクとなっている。 Full text PDF 目次へ戻る