Letter 心疾患:ミエロペルオキシダーゼは繊維化を促進して心房細動を導く介在物質として作用する 2010年4月1日 Nature Medicine 16, 4 doi: 10.1038/nm.2124 観察的臨床研究およびex vivo研究においては、心房細動と炎症との間に強い関連性が認められている。しかし、炎症が心房細動の原因なのか結果なのか、どの炎症メディエーターが細動に対する心房の感受性を上昇させているのかについては、いまだに明らかになっていない。今回我々は、好中球で大量に発現されるヘム酵素のミエロペルオキシダーゼ(MPO)が、心房細動の病態生理に機構的に関与していることを立証する実験的、臨床的根拠を示す。アンギオテンシンII(AngII)で前処理して白血球活性化を誘発したMPO欠損マウスでは、野生型マウスに比べて、MPOの産物である3-クロロチロシンが心房組織中に少なく、マトリックスメタロプロテイナーゼ活性が低下しており、心房の繊維形成が抑制されていた。右心房の電気生理的刺激に対して、MPO欠損マウスでは心房細動が起こらなかったが、MPOの回復によってこの保護作用は消失した。ヒトでは心房細動を起こした患者は、心房細動を起こさなかった患者と比べて、血漿中MPO濃度が高く、右心房組織におけるMPO負荷が大きい。心房では、MPOは3-クロロチロシン産生の増加した部位に共局在していた。今回のデータは、MPOは心筋の構造的リモデリングに前もって必要であり、心房細動に対して脆弱性を増す原因となることを立証している。 Full text PDF 目次へ戻る