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てんかん:Toll様受容体4とHMGB1は発作原性に関与し、発作軽減の標的になりうる

Nature Medicine 16, 4 doi: 10.1038/nm.2127

脳の炎症はてんかんの重要な要因だが、特定の炎症性メディエーターの神経興奮性に対する影響については十分に解明されていない。我々は、C57BL/6マウスでの急性および慢性てんかんモデルを用い、ニューロンおよびグリアからのHMGB1(high-mobility group box-1)放出が含まれる痙攣誘発経路と、自然免疫の重要な受容体であるToll様受容体4(TLR4)とHMGB1との相互作用を明らかにする。HMGB1およびTLR4のアンタゴニストは発作開始を遅らせ、また急性および慢性発作の再発を低下させた。TLR4に欠陥をもつC3H/HeJマウスは、カイニン酸誘発性発作に対して抵抗性である。HMGB1の痙攣誘発的影響の一部は、インターロイキン1β(IL-1β)の作用と同様に、イフェンプロジル感受性のN-メチル-d-アスパラギン酸(NMDA)受容体によって媒介される。マウスの慢性てんかんモデルで観察されるのと同じように、ヒトのてんかん原性組織ではHMGB1とTLR4の発現が増大しており、これはヒトのてんかんにHMGB1-TLR4経路がかかわっていることを示唆している。したがって、HMGB1-TLR4シグナル伝達は、ヒトでの発作の発生と持続の一因である可能性があり、また今のところ薬が効かないてんかんで抗痙攣効果を得るための標的となるかもしれない。

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