Technical Report

遺伝子工学:マウス胚での組織特異的形質導入およびRNAiによる、遺伝的ネットワークの迅速な機能分析

Nature Medicine 16, 7 doi: 10.1038/nm.2167

今回我々は、超音波ガイド下in utero感染法を使って、蛍光観察で追跡可能なレンチウイルスに組み込んだRNAiもしくはCreリコンビナーゼをマウス胚に送達して、表層上皮の前駆細胞群に任意の遺伝的変化を安定的に組み込み継承させるという、非侵襲的で高効率な選択的形質導入法を実証した。レンチウイルスに組み込まれた既存のショートヘアピンRNAライブラリーの一般的な小型プロモーターを用いて表皮特異的な感染を起こすことができ、遺伝子機能だけでなく、in vivoでの皮膚の形態形成や疾患における複雑な遺伝子相互作用も迅速に評価できるようになった。この技術を使って、ある遺伝子が皮膚腫瘍形成での細胞増殖に有利に働くか、不利に働くかを確定するための新しい定量的手法を考案した。モデルとしてα1-カテニンを用い、広く発現される腫瘍抑制因子としてのその役割について新たな手がかりを明らかにし、皮膚細胞の増殖とアポトーシスの調節におけるCtnna1Hras1-Mapk3およびTrp53遺伝子経路の間の生理的相互作用を明らかにする。この研究は、組織の形態形成、系列特異化およびがんの研究のための戦略とその広い適用性を示している。

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