Technical Report ワクチン接種法:インフルエンザワクチン接種用の溶解性高分子製微細針つきパッチ 2010年8月10日 Nature Medicine 16, 8 doi: 10.1038/nm.2182 インフルエンザの予防には、簡略な輸送が可能で、免疫原性を向上させられ、また皮下注射針に伴う危険がないワクチン接種法が非常に役立つと考えられる。今回我々は、皮膚の抗原提示細胞へのワクチン送達を目的とする簡便なパッチベースの系を使うインフルエンザワクチン接種用に、溶解性微細針つきパッチを開発した。微細針は、生体適合性高分子を使って作製され不活化インフルエンザワクチンが封入されており、刺してから数分以内に皮膚内で溶解する。マウスでは微細針ワクチン接種によって、抗体とロバストな細胞性免疫応答が生じて、致死的なウイルス攻撃接種から完全に守られた。従来の筋肉注射と比べて、微細針によるワクチン接種では攻撃接種後の肺からのウイルスクリアランスの効率が高くなり、細胞性リコール応答が増強された。これらの結果は、溶解性微細針つきパッチが、免疫原性が高く、より簡便で安全なワクチン接種法のための新技術となりうることを示唆しており、この方法によってワクチン接種率の向上が促進されると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る