Technical Report 再生医学:バイオ人工肺の再建と同所移植 2010年8月10日 Nature Medicine 16, 8 doi: 10.1038/nm.2193 現在、米国の肺移植待機患者の数はほぼ2千人であり、世界には終末期肺疾患の患者が5千万人存在する。バイオ人工肺の作出には、換気、灌流、ガス交換が可能で存続能のある肺構造の設計が必要である。今回我々は、界面活性剤灌流によって肺を脱細胞化し、無細胞の脈管系、気道、肺胞を備えた足場材料を得た。まずガス交換組織を再建するために、この足場構造に上皮細胞と内皮細胞を播種した。機能を確立させる目的で、発生中の肺の生理的環境を模したバイオリアクター内で、細胞播種した足場構造に灌流およびガス交換を施した。5日目までに、この構造は血液での灌流と、生理的圧力下での肺換気が可能になり、単離した生体肺に匹敵するガス交換が生じた。さらに、in vivoでの機能を見るために、再建した人工肺を同所的部位に移植した。移植後、人工肺はレシピエントの血液循環によって灌流され、レシピエントの気道と呼吸筋によって換気が行われ、抜管後の6時間にわたってin vivoでガス交換が起こった。 Full text PDF 目次へ戻る