Article がん:ヒスタミン欠乏は骨髄細胞の成熟低下とCD11b+Ly6G+未成熟骨髄細胞の蓄積を介して炎症関連発がんを促進する 2011年1月1日 Nature Medicine 17, 1 doi: 10.1038/nm.2278 ヒスタミン生成を担う唯一の酵素であるヒスチジンデカルボキシラーゼ(HDC)は骨髄細胞で高度に発現しているが、これらの細胞でのその機能は十分に解明されていない。本論文では、Hdcノックアウトマウスでは結腸および皮膚に高率で発がんがみられることを示す。Hdc-EGFP細菌人工染色体による遺伝子導入を行い、EGFP発現がHdcプロモーターによって制御されるようになったマウスを使って、HdcはCD11b+Ly6G+の未成熟骨髄細胞(IMC)に主に発現していることがわかった。この未成熟細胞は化学発がんの早期に補充される。Hdc欠失骨髄を野生型レシピエントマウスに移植すると、CD11b+Ly6G+細胞の動員が増加し、Hdcノックアウトマウスのがん感受性表現型が再現される。また、Hdc欠失IMCは腫瘍同種移植片の増殖を促進するが、マウスCT26結腸がん細胞は、プロモーターの過剰メチル化を介してHdc発現を低下させ、骨髄細胞の成熟を妨げる。外因性ヒスタミンはIMCの分化を誘導し、IMCによる腫瘍同種移植片増殖促進を抑制する。これらのデータは、骨髄細胞の分化にHdcとヒスタミンがもつ重要な役割と、CD11b+Ly6G+ IMCががん発生早期に果たす重要な役割を示している。 Full text PDF 目次へ戻る