本論文では、p38 MAPK(p38 mitogen-activated protein kinase)は、スプライシング後のXbp1(X-box binding protein 1)のThr48およびSer61残基をリン酸化して核への移行を大幅に促進するが、この2つの残基のいずれかがアラニンに変異すると、核への移行および活性が相当度低下することを示す。肥満マウスの肝臓では、やせたマウスと比較してp38 MAPK活性が顕著に低下していることもわかった。さらに、恒常的活性型のMAPキナーゼキナーゼ6(MKK6Glu)の発現によってp38 MAPKを活性化すると、Xbp1の核への移行が大きく促進され、小胞体ストレスが低減して重度肥満および糖尿病のマウスの血糖値が正常化されることを示す。今回の結果は、肥満におけるグルコース恒常性の維持に、Xbp1のThr48およびSer61のリン酸化が非常に重要な役割を果たしていることを明確に示しており、肥満マウス肝臓でのp38MAPK活性化は、2型糖尿病に対する新規治療法につながる可能性を示唆している。