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貧血:重合体IgA1は赤芽球増殖を制御し、貧血での赤血球生成回復を促進する

Nature Medicine 17, 11 doi: 10.1038/nm.2462

エリスロポエチン(Epo)の産生が足りなかったり、Epoへの応答が不十分であったりすることが原因の貧血は、慢性腎疾患やがんの重要な合併症である。赤芽球のEpoに対する感受性を調整する機構はほとんど解明されていない。本論文では、赤芽球を至適濃度以下のEpoの存在下で培養した場合、赤芽球の増殖およびコロニー形成能が、トランスフェリン受容体1(TfR1)に結合した重合体IgA1(pIgA1)によって回復したことを示す。ヒトIgA1を発現するマウスの恒常性維持条件下での赤芽球数は、対照マウスに比べて増加していた。このマウスを低酸素ストレス条件下におくと、pIgA1量と赤芽球数の増加が起こった。野生型マウスでのヒトIgA1発現、あるいはTfR1リガンドであるpIgA1や鉄負荷トランスフェリン(Fe-Tf)の投与によって、急性貧血からの回復が促進された。pIgA1あるいはFe-TfのどちらかがTfR1と結合することで、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)およびホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達経路の活性化が誘発され、これによってEpoに対する細胞の感受性が上昇した。このような細胞応答にはTfR1内部移行モチーフであるYXXΦがかかわっていた。我々の結果は、pIgA1およびTfR1が、生理的および病的な状況の両方で、赤血球生成の正の調節因子となっていることを示している。この経路を標的とすることは、無効造血や貧血を治療するもう1つの方法となるかもしれない。

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