Review アテローム性動脈硬化:現在考えられている発症原因と治療の選択肢 2011年11月1日 Nature Medicine 17, 11 doi: 10.1038/nm.2538 アテローム性動脈硬化に起因する冠動脈疾患(CAD)は、世界中で死亡および罹病の主要原因となっており、その基盤的病因には不均衡な脂質代謝や動脈壁の慢性炎症を引き起こす不適応免疫応答などがかかわっている。脂質蓄積、免疫応答とそれらの排除のバランスの乱れは、ケモカインとその受容体によって支配される白血球輸送および恒常性によって作り出される。脂質と炎症生物学的事象とをつなぐ新たな炎症性および抗炎症性経路が見つかっており、また遺伝的プロファイリング研究により、ヒトCADに関与する変異も見つかっている。炎症過程とそのメディエーターの解明が進んだことで、標的となりうる機序の多様性が明らかになり、これは脂質量を低下させる治療法の補足として使える可能性がある。本総説では、最近明らかにされた分子機序、トランスレーショナル研究の進展、およびアテローム性動脈硬化とCADにおける脂質関連炎症を標的とする臨床戦略を体系的に概観することを目的としている。 Full text PDF 目次へ戻る