Article

代謝:Bリンパ球、微生物叢と腸上皮の間のクロストークは腸での免疫と代謝の関係を支配する

Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2505

我々はシステム生物学の手法を用いて、免疫系、腸上皮と微生物叢の間に三者間相互作用が存在することを見いだし、詳細な解析を行った。B細胞あるいはIgAは存在せず、微生物叢が存在する場合には、腸上皮は独自の防御機構を開始し、インターフェロン誘導性免疫応答経路が上方制御され、それと同時にGata4関連代謝機能が抑制されることがわかった。腸機能のこのような変化は、脂質の吸収障害および体脂肪蓄積の減少につながる。ネットワーク解析から、腸上皮細胞には、脂質代謝を支配するネットワークと免疫を調節するネットワークという2つの相互に関連し合う遺伝子ネットワークが存在し、これらの発現は逆比例の関係にあることが明らかになった。分類不能型免疫不全症あるいはHIV感染と腸吸収障害がある患者の腸生検標品での遺伝子発現パターンは、B細胞欠損マウスのそれと非常によく似ており、ヒトでの免疫不全と脂質吸収障害の間のずっと以前から認められていた不可解な関連の説明になる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度