Article 心疾患:CaMKIIの酸化はアルドステロンの心臓毒性作用を決定する 2011年12月1日 Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2506 βアドレナリン作動性シグナル伝達経路、アンギオテンシンII(Ang II) シグナル伝達経路およびアルドステロンシグナル伝達経路の過剰な活性化は、心筋梗塞後の死亡率を上昇させ、これらの経路を標的とするアンタゴニストはこのような病態の重要な治療法である。カテコールアミンとAng IIは、多数の機能をもつCa2+/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)を活性化し、CaMKIIの阻害はイソプロテレノール介在性およびAng II介在性心筋症を防止する。今回我々は、アルドステロンがCaMKIIの酸化的活性化により心筋に直接的な毒性作用を及ぼし、マウスで心筋梗塞後の心破裂や死亡率上昇の原因となることを示す。アルドステロンは、NADPH酸化酵素の動員によりCaMKIIの酸化を引き起こし、酸化されて活性化したCaMKIIは心筋細胞のマトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP9)発現を促進する。心筋でのCaMKII阻害、メチオニンスルホキシド還元酵素A(酸化型CaMKIIを還元する酵素の1つ)の過剰発現、あるいはNADPH酸化酵素の欠損は、アルドステロンにより増進される心筋梗塞後心破裂を防止した。以上の結果は、心筋の酸化型CaMKIIが心臓マトリックスへのアルドステロンの心臓毒性作用を仲介することを示し、CaMKIIが心筋梗塞後の予後不良に関連する神経液性経路の中心にあるシグナルであることを明らかにしている。 Full text PDF 目次へ戻る