Article

糖尿病:肝細胞増殖因子受容体-インスリン受容体ハイブリッドは肝臓での糖代謝を調節する

Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2531

肝細胞増殖因子受容体(Met)は肝細胞増殖因子(HGF)に対する膜貫通型チロシンキナーゼ細胞表面受容体であり、インスリン受容体(INSR)チロシンキナーゼと構造的に関係がある。今回我々は、HGF-Met軸が、肝臓でのグルコース取り込みの促進と肝臓からのグルコース放出の抑制によって代謝を調節することを報告する。MetはINSRと直接結合してMet-INSRハイブリッドを形成し、これがロバストなシグナルを出すようになることから、肝臓が最適のインスリン反応性を示すためにはMetが不可欠であることがわかった。さらに、インスリン不応のモデルマウスでは、HGF-Met系がインスリン反応性を回復させることが明らかになった。今回の結果は、肝臓のインスリン抵抗性の分子基盤について新たな知見をもたらし、臨床現場でHGFが2型糖尿病治療に有用となる可能性を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度