Article ワクチン:複合糖質ワクチンによる適応免疫系活性化の機序とワクチン設計へのその影響 2011年12月1日 Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2535 複合糖質ワクチンは、衛生上多大な恩恵を世界にもたらしたが、疾患発症リスクが高い一部の集団ではあまり効果が上がっていない。我々は、複合糖質ワクチンの有効性を増強する新たな手段を明らかにするために、典型的な複合糖質ワクチンに対する免疫応答を制御する分子レベルおよび細胞レベルでの機序について調べた。抗原提示細胞では、担体タンパク質に結合したB群レンサ球菌III型の多糖がエンドリソソームでプロセシングを受けて糖鎖エピトープが生成することがわかった。この糖鎖エピトープは、担体タンパク質由来のペプチドとともに主要組織適合複合体クラスII(MHCII)に結合し、糖鎖特異的CD4+ T細胞クローンを刺激して、抗体産生B細胞にT細胞ヘルプを与えるのに不可欠なサイトカインであるインターロイキン2と4を産生させた。糖鎖特異的T細胞エピトープの提示が最大になるように構築された複合糖質ワクチン原型は、B群レンサ球菌感染のマウス新生児モデルで、現在使われているワクチン製造法によって作られたワクチンに比べて50〜100倍強力で、防御性が大幅に高くなった。複合糖質がプロセシングを受けて、その結果CD4+ T細胞を刺激する糖鎖エピトープの提示が起こる仕組みを明らかにした今回の結果は、複合糖質ワクチンの設計に重要な影響があり、ワクチンの有効性を大幅に増強させる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る