Article

血管疾患:一酸化窒素の全身的産生にはアルギニノコハク酸リアーゼが必要である

Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2544

一酸化窒素(NO)は、多様な生理的および病的過程に非常に重要である。我々は、アルギニノコハク酸リアーゼ(Aslにコードされる)欠損の機能低下マウスモデルは、多臓器機能不全とNO欠乏の独特な表現型をもつことを示す。Aslの欠損は、ヒトとマウスでともに、内因性アルギニン合成の低下とNO産生に細胞外アルギニンを利用できないという障害の両方が原因となってNO合成低下を引き起こす。
in vivoでNOに転換可能な亜硝酸塩の投与は、機能低下AslマウスでNO欠乏の徴候を救済し、一酸化窒素合成酵素(NOS)非依存性NO供与体はASL欠損患者でNO依存性血管応答を回復させた。機序検討により、ASLは触媒活性に加えて構造的機能を有しており、これによってNO産生に必要な多タンパク質複合体形成にかかわっていることがわかった。我々の結果は、NOS機能とNO恒常性にASLが担う今まで認められていなかった役割を明らかにしている。したがって、ASLは実験モデルでのNO産生操作の標的となるだけでなく、NO関連疾患治療の標的となる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度