Letter 乳がん:乳がんで頻発するMASTキナーゼおよびNotch遺伝子ファミリーの機能的再編成 2011年12月1日 Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2580 乳がんは不均一な疾患で、認められる分子異常と臨床転帰は広い範囲にわたる。我々は、トランスクリプトームのペアドエンドシーケンシングを用いて一連の乳がん細胞系統および組織における遺伝子融合の全体像を調べた。個々の乳がんでは、多様な遺伝子融合体が発現していることが観察された。MAST(microtubule-associated serine-threonine kinase)およびNotchファミリーのメンバーをコードしている遺伝子がかかわる2種類の遺伝子再編成が頻発していることがわかった。MASTおよびNotchファミリー遺伝子の融合は、乳腺上皮細胞の表現型にかなりの影響を及ぼしている。Notch遺伝子の再編成が起こっている乳がん細胞株はNotchシグナル伝達阻害に対して独特の感受性を示し、MAST1またはMAST2遺伝子融合体の過剰発現はin vitroとin vivoの両方で増殖性の影響が見られた。これらの知見は、頻発する遺伝子再編成が一部のがんで重要な役割を果たしていることを明らかにしており、またトランスクリプトームシーケンシングは希少だが治療標的になり得る遺伝子融合体をもつ個体を同定できる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る