メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染は、健康な人の場合でも、軽度の皮膚感染から各種臓器の重篤な病変まで、幅広い症状を引き起こすことがある。この病原体はヒトの免疫系によるさまざまな防御策から逃れたり抗生物質による治療に打ち勝ったりできるため、その蔓延の防止や関連症状の治療が難しい。BEDSIDE TO BENCHではS D KobayashiとF R DeLeoが、疾患の確立に必要な抗原に注目したワクチン開発の新しい手法を探っている。膿瘍形成と血流感染に重要なブドウ球菌コアグラーゼで免疫したマウスでの感染の研究では、こうした手法を使ってヒトでも細菌負荷を減らして重症化を防止できる可能性が示唆されている。BENCH TO BEDSIDEではM Ottoが、市中感染型MRSAでのパントン・バレンタイン・ロイコシジン毒素(PVL)をコードする遺伝子の存在が、複雑性皮膚・軟部組織感染症と相関していないことを示した大規模なヒト研究について検証している。この研究結果は、PVLがCA-MRSA毒性の主要因子だとする広く認められている見解と相反している。