Article 肥満:NLRP3インフラマソームは肥満誘発性の炎症とインスリン抵抗性を引き起こす 2011年2月1日 Nature Medicine 17, 2 doi: 10.1038/nm.2279 肥満の際に、明らかな感染やはっきりした自己免疫過程がないのに慢性炎症が出現するのは説明の難しい現象である。自然免疫細胞のセンサーである、Nlrp3(nucleotide-binding domain, leucine-rich-containing family, pyrin domain-containing-3、別名Nalp3あるいはクリオピリン)インフラマソームなどのNLR(Nod-like receptor)ファミリーは、ある種の非微生物起源の「危険信号」の認識に関与しており、カスパーゼ1の活性化やそれに続くインターロイキン1β(IL-1β)およびIL-18の分泌を引き起こす。本論文では、肥満している2型糖尿病患者でのカロリー制限および運動による減量は、脂肪組織でのNlrp3の発現低下に加えて、炎症軽減とインスリン感受性改善に結びつくことを示す。また、マクロファージと脂肪組織では、Nlrp3インフラマソームが脂肪毒性に関連した細胞内セラミド増加を感知して、カスパーゼ1切断を誘導することもわかった。マウスでNlrp3を除去すると、貯蔵脂肪と肝臓で肥満が誘発するインフラマソーム活性化が防止されるとともに、インスリンシグナル伝達が増強される。さらに、肥満マウスでのNlrp3除去は、IL-18および脂肪組織でのインターフェロンγ発現を低下させ、ナイーブT細胞数を増加させ、脂肪組織でのエフェクターT細胞数を低下させる。まとめるとこれらのデータは、Nlrp3インフラマソームが肥満に関連する危険信号を感知し、肥満誘発性の炎症とインスリン抵抗性の一因となることを確証している。 Full text PDF 目次へ戻る