Article ワクチン:暴露前および暴露後に効果的な防御を付与する多段階結核ワクチン 2011年2月1日 Nature Medicine 17, 2 doi: 10.1038/nm.2285 現在臨床試験段階にある結核ワクチンはすべて、早期に発現される抗原に基づいた予防的ワクチンとして設計されている。我々は、早期抗原であるAg85BおよびESAT-6(6-kDa early secretory antigenic target)に潜伏期関連タンパク質Rv2660cを組み合わせるという多段階ワクチン接種戦略(H56ワクチン)を開発した。CB6F1マウスでは、感染後期に転写が全体的に低下するにもかかわらず、Rv2660cは安定して発現されることがわかった。H56ワクチンは、タンパク質成分すべてに対するT細胞応答を促進し、この応答は多機能CD4+ T細胞の比率が高いという特徴をもつ。3種類の暴露前マウスモデルで、H56は防御免疫を引き起こし、これは感染後期の封じ込めがAg85B-ESAT6ワクチン(H1)やBCGよりも効果的なことが特徴である。また、2種類の結核潜伏感染モデルでは、暴露後のH56ワクチン接種により菌の再活性化が抑制でき、アジュバントのみを接種した対照マウスと比較して細菌数を大幅に低下させることがわかった。 Full text PDF 目次へ戻る