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がん:UBE4Bは腫瘍抑制因子p53のHdm2による分解を促進する

Nature Medicine 17, 3 doi: 10.1038/nm.2283

TP53遺伝子(腫瘍抑制因子p53をコードする)に変異がみられることはまれだが、髄芽腫や上衣腫では不活化されていることが多い。マウスモデルを用いた最近の研究で、p53の喪失によって髄芽腫の進行が加速することが示された。ヒトの脳腫瘍でp53が不活化される機構は十分に解明されていない。本論文では、E3およびE4ユビキチンリガーゼであるUBE4B(ubiquitination factor E4B)が、p53およびHdm2(マウスではMdm2として知られている)と物理的に相互作用することを示す。UBE4Bはp53のポリユビキチン化と分解を促進し、p53依存的なトランス活性化とアポトーシスを抑制する。UBE4Bの発現を抑制すると、異種移植された腫瘍の増殖がp53依存的に妨げられ、また、UBE4Bの過剰発現は、このような腫瘍でのp53の発現低下と相関する。UBE4Bの過剰発現はヒト脳腫瘍でのUBE4B遺伝子の増幅にしばしば関連することも示す。我々のデータは、UBE4B遺伝子の増幅と過剰発現が、脳腫瘍でのp53不活化における新規の分子機構であることを示している。

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