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感染症:Ksr1は肺への緑膿菌感染を防止する

Nature Medicine 17, 3 doi: 10.1038/nm.2296

緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)はグラム陰性病原菌で、免疫不全患者、嚢胞性繊維症あるいは慢性閉塞性肺疾患の患者で重篤な感染症を引き起こす。本論文では、Ksr1(kinase suppressor of Ras-1)を欠失するマウスは、肺の緑膿菌感染を非常に起こしやすく、感染に伴い肺での抑制の効かないサイトカイン放出、敗血症および死亡がみられるのに対して、野生型マウスではこの感染が治癒することを示す。Ksr1は、誘導型一酸化窒素(NO)シンターゼ(iNOS)と熱ショックタンパク質90を動員して会合させることでiNOS活性を増強し、感染に際してNOを放出させる。Ksr1が欠失すると、肺胞マクロファージおよび好中球はiNOS活性化、NO産生、殺菌を行えなくなる。NO産生を回復させると、Ksr1を欠失する肺胞マクロファージと好中球の殺菌能力が復活して、Ksr1欠失マウスが緑膿菌感染から救済される。我々の知見は、Ksr1がiNOS活性を増強する足場というこれまで知られていなかった機能をもち、したがって緑膿菌感染に対する肺の応答に非常に重要であることを示唆している。

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