Review

腫瘍学の主流となったがんエピジェネティクス

Nature Medicine 17, 3 doi: 10.1038/nm.2305

エピジェネティクスは、現在の生物医学で最も期待でき、また最も発展の著しい研究領域の1つである。エピジェネティクスは1940年代に始まって以来、正常および病的状態における生物学的性質へのその関連について新発見が続々と行われ、この10年間に膨大な量の知識が蓄積することになった。この分野は、DNAメチル化というたった1つのマーカーだけという状態から、多様なヒストン修飾などのさまざまなマーカーが扱われるように変わってきた。方法論的にみれば、初期に成功した単一遺伝子候補を扱う手法は、現在の包括的なエピゲノミクスの方法によって補足され、ゲノム全体を調べて偏りのないやり方でトランスレーショナルな応用を探索できるようになっている。最も重要なのは、エピジェネティック装置における突然変異の発見と、一部の白血病やリンパ腫の治療に対する最初のエピジェネティック薬の認可が、多くの生物医学研究者や臨床家を啓発したことである。本総説では、がんの新規バイオマーカーや新しい薬理戦略の開発において腫瘍学の主流となるに至ったがんエピジェネティクス研究領域の進歩について論じる。

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