Article 糖尿病:代謝プロファイルと糖尿病発症のリスク 2011年4月1日 Nature Medicine 17, 4 doi: 10.1038/nm.2307 血液検体から代謝状態に関するハイスループットプロファイリングを得ることは(メタボロミクス)、技術の進展によって可能になりつつある。我々は、代謝産物プロファイルによって糖尿病発症の予測が可能かどうかについて検討した。正常血糖値を示す被検者2,422人を12年間にわたって追跡調査し、そのうち201人が糖尿病を発症した。ベースラインの検体のアミノ酸、アミンなどの極性代謝物を、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法(LC-MS)を用いてプロファイリングした。患者群と対照群は、年齢、体格指数および空腹時血糖値についてマッチさせた。5種類の分岐鎖および芳香族アミノ酸(イソロイシン、ロイシン、バリン、チロシンおよびフェニルアラニン)は、将来の糖尿病発症と非常に高い関連を示した。3種類のアミノ酸の組み合わせの1つが、将来の糖尿病発症を予測し、第1四分位の被検者では、そのリスクは5倍超であった。独立の前向きコホートでも、この結果が再現された。以上の知見は、糖尿病の発症初期にアミノ酸代謝が重要な役割をもつ可能性を強く示しており、アミノ酸プロファイルは糖尿病リスクの評価に役立つと考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る