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自己免疫疾患:RGMaはT細胞応答を調節し自己免疫性脳
脊髄炎に関与する

Nature Medicine 17, 4 doi: 10.1038/nm.2321

多発性硬化症では、活性化CD4+ T細胞が脳や脊髄で免疫応答を開始し、脱髄、変性や進行性の麻痺を生じる。RGMa(repulsive guidance molecule-a)は、視覚系および神経管の閉鎖に役割を果たす軸索誘導因子である。本論文では、RGMaが骨髄由来樹状細胞(BMDC)に発現すること、またCD4+ T細胞がRGMaの受容体であるネオジェニンを発現することを示す。RGMaがCD4+ T細胞に結合すると、低分子GTPアーゼRap1が活性化され、またT細胞のICAM-1(intracellular adhesion molecule-1)に対する接着が増強された。RGMaに対する中和抗体は、マウスのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)によって誘導された実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の臨床症状を改善し、CNSへの炎症性細胞の浸潤を低下させた。MOGをパルスしたBMDCでのRGMaのサイレンシングは、無処置C57BL/6マウスへの養子移入によるEAE誘導能力を減弱させた。RGMa特異的抗体で処理したマウスから単離したCD4+ T細胞は増殖応答が減少し、インターフェロンγ(IFN-γ)、インターロイキン2(IL-2)、IL-4およびIL-17の分泌が低下した。多発性硬化症の患者由来のPBMCをRGMa特異的抗体と培養すると、増殖応答と炎症性サイトカインの発現が低下した。これらの結果は、RGMa特異的抗体がT細胞応答を抑制することを実証しており、またRGMaが多発性硬化症治療のための有望な分子標的となる可能性を示唆している。

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