Article ウイルス感染:EGFRとEphA2はC型肝炎ウイルス侵入のための宿主因子であり、抗ウイルス療法の標的として有望である 2011年5月1日 Nature Medicine 17, 5 doi: 10.1038/nm.2341 C型肝炎ウイルス(HCV)は肝臓病の主要原因だが、治療の選択肢は限られていて、予防手段はない。ウイルスの侵入は感染の最初の段階であり、複数の宿主細胞因子の協調的な相互作用を必要とする。我々は、RNAiによるキナーゼの機能的スクリーニングによって、上皮増殖因子受容体およびエフリン受容体A2がHCV侵入のための宿主側コファクターであることを突き止めた。認可されている阻害剤によって受容体キナーゼ活性を阻害すると、主要なHCV遺伝子型の全ておよびウイルスのエスケープ変異株による細胞培養系での感染、またヒト肝臓キメラマウスモデルのin vivoでの感染が広く抑制された。今回同定された受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、CD81−claudin-1共受容体の会合とウイルスの糖タンパク質依存的な膜融合の調節によってHCV侵入を助ける。これらの結果は、RTKが今まで知られていなかったHCV侵入のコファクターであることを明らかにし、またチロシンキナーゼ阻害剤がかなりの抗ウイルス活性を有することを示している。RTK機能の阻害はHCV感染の予防と治療のための新たな手段となる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る