Article

免疫:ダクリズマブ療法によって明らかになった、ヒトでの樹状細胞を介したT細胞活性化におけるインターロイキン2のtransプレゼンテーションの役割

Nature Medicine 17, 5 doi: 10.1038/nm.2365

成熟樹状細胞(mDC)によるCD25の発現とインターロイキン2(IL-2)の産生は、以前の研究で報告されているが、これらの分子がどのようにT細胞の活性化に関与しているかについては不明である。我々は、CD25に対するヒト化モノクローナル抗体であるダクリズマブが多発性硬化症で起こる脳の炎症を抑制する機序を調べている際に、この薬剤がポリクローナルT細胞の活性化に及ぼす影響は限られているが、mDCによる抗原特異的T細胞の活性化を強く阻害することを見いだした。本論文では、mDC(および抗原で刺激されたT細胞)がmDCとT細胞の接触面に向かって、抗原特異的にIL-2を分泌することを示し、またmDCがそのCD25を、刺激されたT細胞にtransに「貸し出す」ことによって、初期の高親和性IL-2シグナル伝達を促進し、これはその後に続くT細胞の増殖と抗原特異的エフェクターの発生に非常に重要であることを明らかにする。我々のデータは、DCを介したT細胞の活性化におけるIL-2受容体系の働きについて、今まで知られていなかった機序を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度