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がん:エストロゲン受容体調節因子のキノーム・スクリーニングによってLMTK3が乳がんにおける新規治療標的であることが明らかになった

Nature Medicine 17, 6 doi: 10.1038/nm.2351

エストロゲン受容体α(ERα、ESR1にコードされる)を標的とする治療法は乳がんの治療を大きく変えた。しかし、多くの女性に再発が見られることは、ERα経路を修飾する新しい調節標的の発見の必要性をはっきり示している。siRNAによるスクリーニングから、従来ERα活性の調節に関与するとされてきたマイトジェン活性化プロテインキナーゼやAKTなどの、そのサイレンシングがエストロゲン応答を変化させるキナーゼ群が同定された。最も強力な調節因子の中にはLMTK3(lemur tyrosine kinase-3)が含まれるが、その機能はこれまでわかっていなかった。ERα活性を変化させる他の因子とは異なり、LMTK3はダーウィン型の正の選択を受けてきたらしく、ERα+乳がんに対してヒトが示す独自の感受性を考えれば、これは注目に値する結果である。LMTK3は、プロテインキナーゼC(PKC)活性とAKT(Ser473)リン酸化の低下によって作用し、forkhead box O3(FOXO3)のESR1プロモーターへの結合を増加させる。in vitroでは、LMTK3はERαをリン酸化してプロテアソームによる分解を受けないようにする。マウス同所移植乳がんモデルで、LMTK3のサイレンシングは腫瘍体積を減少させ、またERα+細胞の増殖を停止させるが、ERα細胞の増殖は影響を受けないことは、LMTK3がERα活性にかかわっていることを示している。ヒトがんでは、LMTK3の量とイントロン内の多型が、無病生存や全生存と有意に関連しており、内分泌療法への応答も予測された。これらの知見はヒト乳がんの自然歴を理解する手がかりを与えるもので、またLMTK3が新しい治療標的となることを明らかにしている。

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