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細菌感染:ペプチドグリカン認識タンパク質はタンパク質を感知する二成分系を活性化して細菌を殺す

Nature Medicine 17, 6 doi: 10.1038/nm.2357

哺乳類のペプチドグリカン認識タンパク質(PGRP)は、抗微生物レクチンと同様に、細胞壁に結合して細菌を殺すが、その機構はわかっていない。本論文では、PGRPが細胞分裂時に娘細胞が分離する部位からグラム陽性菌の細胞壁に入り込むことを示す。枯草菌(Bacillus subtilis)に入り込んだPGRPは、通常は菌体から排出される変性タンパク質の検出と処分を行うCssR-CssS二成分系を活性化する。この活性化により、膜の脱分極、細胞内ペプチドグリカンやタンパク質、RNA、DNAの合成停止に加えて、ヒドロキシルラジカル産生が起こり、これらが細菌の死の原因となる。PGRPはまた、大腸菌(Escherichia coli)の外膜に結合し、機能的に相同のCpxA-CpxR二成分系を活性化して、これが大腸菌を殺す。我々は、細胞外ペプチドグリカン合成の阻害、ペプチドグリカン加水分解や膜透過性変化などの考えられる他の殺菌機構の可能性を除外している。したがって、細胞壁もしくは外膜に結合する自然免疫タンパク質が、細菌のストレス防御応答を利用して細菌を殺すという今まで知られていなかった機構が明らかにされた。

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