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筋疾患:BIN1の選択的スプライシングの調節異常は
筋強直性ジストロフィーにおけるT管の変化と筋力低下に関連する

Nature Medicine 17, 6 doi: 10.1038/nm.2374

筋強直性ジストロフィーは、成人に最もよく見られる筋ジストロフィーで、RNAを介する疾患であることがわかった最初の例である。先天性筋強直性ジストロフィー(CDM1)、および筋強直性ジストロフィー1型(DM1)あるいは2型(DM2)は、それぞれCUGリピートあるいはCCUGリピートの伸長が見られる変異体RNAの発現によって引き起こされる。このような変異体RNAは、スプライシングの調節因子であるMuscleblind-like-1(MBNL1)を捕捉してしまうため、ほかのmRNA前駆体の選択的スプライシングに特異的な調節異常をきたすことになる。我々は、bridging integrator-1(BIN1)のmRNA前駆体の選択的スプライシングが、CDM1、DM1およびDM2の患者の骨格筋試料で変化していることを見いだした。BIN1は膜の管状陥入に関与し、筋のT管形成に必要である。T管は特化した骨格筋膜構造で、筋の興奮収縮連関に不可欠である。BIN1遺伝子の変異は、中心核ミオパチーを引き起こす。この疾患は筋強直性ジストロフィーと共通の病理組織学的特徴をいくつか持つ。MBNL1はBIN1のmRNA前駆体に結合し、その選択的スプライシングを調節することがわかった。BIN1のスプライシング異常によって、ホスファチジルイノシトール5リン酸の結合活性と膜の管状化活性を欠損した不活型BIN1の発現が引き起こされる。BIN1の異常と一致して、筋強直性ジストロフィー患者では筋のT管が変化しており、このような患者の筋細胞で正常なスプライシングを受けたBIN1を発現させると、膜構造が回復する。また、マウスでBIN1のスプライシングの変化を再現すると、筋強直性ジストロフィーの特徴であるT管の変化と筋力低下を引き起こすのに十分であることがわかった。

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