Article

脳疾患:炎症性および神経因性の疼痛は、シナプス前Ca2+チャネル複合体からのCRMP-2の解離により抑制される

Nature Medicine 17, 7 doi: 10.1038/nm.2345

N型電位作動性カルシウムチャネル(CaV2.2)遮断薬を疼痛の治療に使用することは、多くの生理的副作用により制限されている。今回我々は、CRMP-2(collapsin response mediator protein 2)のCaV2.2への結合を抑制してチャネル機能を減弱させることにより、炎症性および神経因性の過敏を抑制できることを報告する。HIVのTAT(transactivator of transcription)タンパク質とCRMP-2の融合ペプチド(TAT-CBD3)は、知覚ニューロンからの神経ぺプチド放出と後角ニューロンでの興奮性シナプス伝達を低下させ、髄膜の血流を減少し、ホルマリン注入あるいは角膜へのカプサイシン投与により誘発される侵害防御行動を減弱し、抗レトロウイルス薬によりもたらされる神経因性過敏を改善する。TAT-CBD3は軽微な不安緩解作用を示し、記憶想起、知覚運動機能、抑うつへは影響しない。TAT-CBD3は、in vivoで過敏軽減に必要な量の10倍以上の投与量で、一過性の尾のよじれと体の不自然なねじれを引き起こした。TAT-CBD3は、CRMP-2誘導性のCaV2.2機能増強を防止することにより、炎症性および神経因性過敏を軽減し、これは慢性疼痛の管理に有効な方法となるかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度