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神経疾患:デス受容体6はオリゴデンドロサイトの生存、成熟とミエリン形成を負に調節する

Nature Medicine 17, 7 doi: 10.1038/nm.2373

オリゴデンドロサイトの生存と分化は、発生中の中枢神経系(CNS)軸索のミエリン形成に重要であり、多発性硬化症などのCNS脱髄性疾患におけるミエリン修復に不可欠である。今回我々は、デス受容体6(DR6)がオリゴデンドロサイト成熟の負の調節因子であることを示す。DR6は未成熟のオリゴデンドロサイトで強く発現しており、MBP(mature myelin basic protein)陽性のオリゴデンドロサイトでは発現が少ない。オリゴデンドロサイトでのDR6過剰発現は、カスパーゼ3(casp3)の活性化と細胞死につながる。DR6機能の減弱は、オリゴデンドロサイト成熟の促進、ミエリン形成、およびcasp3の発現低下をもたらす。DR6のアンタゴニストとして働く抗体の投与は、リゾレシチン誘導性脱髄と実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルの両方で、再ミエリン形成を促進する。DR6ヌルマウスではこの両方の脱髄モデルで再ミエリン形成が増強され、これはDR6のアンタゴニストである抗体を使った実験結果と一致している。以上の結果は、未熟なオリゴデンドロサイトの成熟とミエリン形成にDR6シグナル伝達が重要な役割をもつことを明らかにしており、これは多発性硬化症などの脱髄性疾患の治療に新たな道を開く可能性がある。

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