Article がん:CDK1活性の障害はBRCA活性をもつがんをPARP阻害感受性とする 2011年7月1日 Nature Medicine 17, 7 doi: 10.1038/nm.2377 BRCA(breast cancer-associated)1やBRCA2の機能を欠く細胞などの、相同組換えに欠陥のある細胞はポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤に対して高い感受性を示す。しかしBRCAを欠損する腫瘍は成人のがんの少数を占めるに過ぎず、このことがPARP阻害剤単剤治療法の有用性を限られたものにしている。サイクリン依存性キナーゼ(Cdk1)はBRCA1をリン酸化し、これはBRCA1陽性巣の効率的な形成に必須である。本論文では、Cdk1の枯渇あるいは阻害は細胞の相同組換えによるDNA修復能力を損なうことを示す。野生型BRCAをもつがん細胞でCdk1とPARPとをあわせて阻害すると、コロニー形成の低下、ヒトがん異種移植片の増殖遅延、マウス肺腺がんモデルでの生存延長が起こった。Cdk1の阻害は非形質転換細胞および組織をPARP阻害感受性にすることはなかった。Cdk1活性の低下はBRCA1の機能を障害し、その結果、相同組み換えによる修復をも損なうことから、Cdk1阻害はBRCA活性型のがんに対するPARP阻害剤の有用性を拡大するための妥当な戦略の1つとなる。 Full text PDF 目次へ戻る