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免疫:死にゆく宿主細胞から放出されるDNAはアルミニウムのアジュバント活性を担う

Nature Medicine 17, 8 doi: 10.1038/nm.2403

アルミニウムを使うアジュバント(アルミニウム塩、総称アラム)は、ヒトのワクチン接種に広く用いられているが、その作用機序はよくわかっていない。本論文では、マウスでアラムが細胞死とそれに続く宿主細胞DNAの放出を引き起こし、それがアラムのアジュバント活性を媒介する強力な内在性の免疫刺激シグナルとして作用することを報告する。さらに我々は、宿主DNAのシグナル伝達はアラムをアジュバントに用いた免疫後のIgEとIgG1産生に対して異なった調節を行うと提唱する。宿主DNAは、IgG1産生などの一次B細胞応答をインターフェロン応答因子3(Irf3)非依存的な機構を介して誘導すると考えられる。それと同時に、宿主DNAはIrf3依存的な機構によってIgEアイソタイプ切り替えと末梢のエフェクター応答を伴う「正統」な2型ヘルパーT(TH2)応答を刺激すると考えられる。死細胞から放出される宿主DNAがアラムのアジュバント活性を媒介する損傷関連分子パターンとして作用するというこの知見は、現在使われているワクチンの作用機序の理解を進め、また新たなアジュバントの設計に役立つ。

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