Editorial

難しい決断

Nature Medicine 17, 8 doi: 10.1038/nm0811-901

医薬品の条件付き認可は、必要とする患者に迅速に薬を供給することを目的としている。しかし、その後に完全な認可が下りなかった場合には、患者、製薬会社や監督官庁にとって事態は複雑化する。2008年、FDAはジェネンテック社のアバスチンを乳がん治療薬として条件付きで認可したが、「完全認可」には有効性に関してさらなる臨床試験が必要なことが付記されていた。しかしその後の2回の追跡臨床試験では際立った有効性は報告されず、2010年12月にはFDAから認可取り消しが提案された。これについてジェネンテック社からは異議申し立てがあり、それを受けて公聴会なども行われたが、FDAの特別諮問委員会は副作用が効果より大きいとして、結局6月の末に認可の取り消しを票決した。一方、ECはアバスチンとパクリキセルの組み合わせを転移性乳がんの治療薬として認可しており、これがさらに事態を複雑にしている。こうした例に鑑みて、FDAはどうしたら紛糾が避けられるのかを考察し、認可の基準が念入りに検討され、周知徹底されているかを検討する必要があるだろう。

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