Technical Report 画像化技術:黄色ブドウ球菌による心内膜炎の、病原体特異的 プロトロンビン活性化を標的とすることによる in vivo検出 2011年9月1日 Nature Medicine 17, 9 doi: 10.1038/nm.2423 コアグラーゼ陽性の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、細菌感染が急速に進行して心臓弁が破壊される急性心内膜炎の主要な病原体である。細菌の定着と増殖は内皮損傷部位で起こり、細菌はそこでフィブリンおよび血小板とともに、疣腫として知られる異常な増殖物の形成を開始する。今回我々はプロトロンビンの改変類似体を用いて、非侵襲的蛍光画像化法もしくはポジトロン放出断層撮影法(PET)によって、心内膜炎性疣腫内の黄色ブドウ球菌を検出できたことを報告する。このようなプロトロンビン誘導体はスタフィロコアグラーゼに結合して、成長中の細菌性疣腫の中へ入り込んだ。また、黄色ブドウ球菌によるスタフィロコアグラーゼ発現の調節に、細菌クオラムセンシングがかかわっていることの証拠も得られた。スタフィロコアグラーゼの発現は、成熟した疣腫の成長中の端部に限定されており、そこではスタフィロコアグラーゼが宿主に暴露されていて、画像化プローブと共局在していた。コアグラーゼを遺伝的に欠失する黄色ブドウ球菌株で心内膜症を誘発させるとマウスの生存率が改善されたことは、スタフィロコアグラーゼが毒性因子として働いていることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る